サイゼリヤで賢者になろう
はじめに
おさけを飲むひとには二種類います。
飲む場所にこだわるひとと、そうでないひとです。
いやいや、「飲む」というのをみんないっしょくたにしてはいけないかもしれませんね。だって大人たちは、飲みに行く相手によって場所を変えなくてはいけないのですから。よくわからないなら、あなたのお父さんに聞いてみましょう。きっとよろこんで教えてくれますよ。
うるせえ！
わざわざいい感じの店を探さなきゃいけないのは大抵「止むを得ず飲まなければいけない時」ないし「仲良くならなきゃいけない時」だ！「飲みたい」って飲みに行く時は！既に仲のいい、気心知れた相手とダラダラ話をしながら酒が飲みたい時！
ならばサイゼリヤだ！
サイゼリヤがあなたを選ぶ
サイゼリヤを賛美する前に、貴方がサイゼリヤに行くに相応しい人間かを試さなければならない。
- グルメですか？
- ワインは飲めますか？
- 脂っこいのは平気ですか？
1.グルメですか？
食通でも別にいいかも知れない。だが、通ぶってマウントを取ることで自分の幸福度を確認しようとする哀れな人間、自分が恵まれた食生活をしてきたことをアピールしようという醜い自意識の持ち主などの侵入をサイゼリヤは決して許さない。ただ安いというだけで出される食事をバカにする者は、その歪んだ魂故にサイゼリヤに行けないという罰を生涯受けなくてはならない。死後マグナムの池地獄で謝っても遅いのだ。そもそもサイゼリヤの飯は決してマズくはない。マズくない。とびきり美味しいかは人それぞれとして、マズいということは決してない。それなりに美味しい筈だ。そして味はどの店舗に行っても決して変わらない。
2.ワインは飲めますか？
ワインが体に合わない人もいる。特に赤ワインは合わない人は猛烈に悪酔いするらしい。そういう人はサイゼリヤに向いていない。酒のラインナップがワインに偏っているためだ。何より、マグナムというサイゼリヤの真髄を体感することができない。(誤解のないように述べておくが、別に飲まなくてもサイゼリヤは魅力的な空間である)逆に、自宅にワインセラーがあるとか、ワインの味の違いを語るとか、そういうレベルのワイン愛好家も多分サイゼリヤには向いていない。神の酒マグナムの寵愛を受けるには、酒に対する謙虚な心を忘れてはならないのだ。
3.脂っこいのは平気ですか？
サイゼリヤのメニューで油・脂と無縁なのはサラダくらいである。それ以外は油かチーズか、あるいはその両方がかかっている。ピザ！パスタ！肉！炭水化物と脂質、申し訳程度のタンパク質がサイゼリヤの構成要素だ。尤も、サイゼリヤに行ってみれば自分がサイゼリヤに行ける体調かわかるようになったり、多少怠くてもサイゼリヤに行きたくなるようになったりするので、これは何度か行ってみて確かめればいい。
なぜサイゼリヤなのか
筆者が認めるサイゼリヤの長所は以下の通り。
1.圧倒的コスパ
サイゼリヤで飲んでも、相当な暴飲暴食をしない限りは一人3000円以内で収まる。注文例は後述する。神が求めるのは高額な貢納ではない。マグナムへの崇拝と賛美だ。
2.ユビキタスな存在
サイゼリヤは普遍的である。あなたがサイゼリヤの恩寵溢れる地ーー本州の関東以西に住んでいるならば、グーグルマップで検索すれば行ける店がかならず見つかるだろう。そしてメニューはどこでも一切変わらず、味も一定である。
ゆえに、諸君が身に付けたサイゼリヤノウハウは決して遠隔地で役に立たないことはない。一度作った「俺の定番」はどこに行っても活用される。
3.マグナム
サイゼリヤの人類に対する愛の証である。
サイゼリヤの楽しみ方
サイゼリヤの楽しみ方は人それぞれだが、ここでは私のオススメを紹介したい。
- 入店
- 着席・オーダー
- 饗宴
- 退店
1.入店
都市部のサイゼリヤは基本的に待たなければ入れない。地上(ないし地下)は神殿を目指す巡礼者に満ちているのだ。諦めて名前を書き、厳かに着席して順番を待とう。ここで問題になるのがグループの人数と喫煙/禁煙席の選択である。
サイゼリヤに来るなら最大4人が良い(ような気がする)。5人以上だと2卓以上に分かれることを提案されがちだ。それに神酒マグナムを分配し辛くなる。そのため、筆者は大抵2人で巡礼する。以後の記述も基本的には2人小隊を前提としている。
喫煙、禁煙について、「どちらでも」を選んだ場合割と高い確率で喫煙席になるので、吸わないなら禁煙を選ぼう。まあ、服の匂いを気にして禁煙選択という動機はナンセンスかも知れない。サイゼリヤに入った時点で油臭くなるのは覚悟した方がいい。居酒屋やうどんチェーンのソレよりはマシだけど。
2.着席・オーダー
席が選べるという僥倖にあずかることができたななら、なるべく喫煙席から遠い席を選んで座る。ダメなら言われるがままに座ろう。サイゼリヤの店員は神の巫師だ。神の恵みと神託を届けることに追われる彼らに迷惑をかけてはいけない。巫師が食器とおしぼりの入った緑のトレーを持ってきて、オーダーを取ってくれる。
さて、オーダーだが……
まずはマグナムである。
マグナムはサイゼリヤ神がもたらした奇跡である。人に口が付いているのは神より賜った3つの使命のためである。1つ目は「マグナムの赤」とオーダーすること、2つ目は「マグナムの白」とオーダーすること、3つ目はマグナムを飲むことである。人間は長い歴史の中でそのサイゼリヤ信仰を失い、口の本来の使い方を忘れてしまったのだ。いまこそ使命を果たそう。1500mlで1080円。これがあなたをあるべき姿に返す。赤か白かは好みで選ぼう。筆者は赤を頼むことが多い。
溢れる神の恵みに溺れてしまわぬよう、糖質、脂質で悪酔いを防ごう。筆者のオススメはアラビアータだ。ピリ辛味が聖なる雫とベストマッチ。巻き取らなくても食べられるのでシェアしやすい。
お腹が空いているなら主食を追加しよう。ピザが分けやすい。筆者のオススメは野菜とキノコのピザ。野菜ソースの香味が癖になるぞ。生臭系が平気な人には真イカとアンチョビのピザもオススメだ。旨味と塩気が、神から賜りし霊酒を口へアシストしてくれる。
ここに、ポップコーンシュリンプ、チョリソーなどを加えていくのが私のオススメだ。ゴキゲンな日はパルマ産プロシュートなんかもいい。文句無しに神の恵みと合う。
このようにしてつまみを頼んでも、大した値段にはならない。
例えば
- 神 ¥1,080
- アラビアータW ¥770
- ポップコーンシュリンプ ¥299
- チョリソー ¥399
- 野菜ときのこのピザ¥399
2人でこれだけオーダーしても2,947円。一人頭1,500円以下である。物足りない人は肉などを頼んでいいが、それでも一人頭3,000円を超えるのは逆に難しい。
まだ満足いかないならドルチェはどうだろう。
トリュフアイス以外は一つ300円以内なので誤差みたいなものだ、気兼ねなく頼もう。しかしこのトリュフアイス(¥369)、とても美味なので余裕があれば食べてみるといい。
今回はサイゼ飲みの紹介なのでド定番のミラノ風ドリアやペペロンチーノについてはまた今度にしよう。というか説明いるの？
3.饗宴
オーダーが着く前に水を取って来ること。サイゼリヤの水はセルフサービスだ。サイゼの巫師たちは祭儀に集中しなければならない。お冷の用意くらいは参拝者自らやって当然だろう。
御神体であるところのマグナム瓶が届いたら、その存在感を味わいつつ紙ナプキンを御神体の首に巻き付けよう。そのあまりの巨躯ゆえ、マグナム瓶の取り回しは人の子である我々には難しい。注ぎ口から垂れた神の涙がそのお身体を伝って濡れてしまわないようにしようという訳だ。
サイゼリヤにはどの店舗にもいくつか調味料が置いてある。
タバスコ、唐辛子フレーク、粉チーズ、オリーブオイルが基本である。
辛味要素であるところのタバスコ、唐辛子フレークだが、単に刺激が欲しいならタバスコの方が強く、手軽だ。しかし、サイゼリヤに来たなら唐辛子フレークを使うといい。他のイタリア料理店でクラッシュドレッドペッパーを見てサイゼリヤを思い出してしまうようになり、信仰の深まりを実感すること請け合いだ。粉チーズも忘れてはいけない。パスタの味が円やかになる。パスタW戦略では味に飽きる可能性がなきにしもあらずなので、適宜取り皿で粉チーズ、唐辛子フレークをかけて味を変えよう。オリーブオイル？追いオリーブはしたことないなぁ……
4.退店
サイゼリヤ神の愛をしっかり味わったら、テーブルの筒に入った神託を持ってレジに向かおう。サイゼリヤでカード払いは不可能だ。そもそも、この支払いはサイゼリヤ神への貢納であるのだから、手ずから支払わないなどという冒涜が許される筈がない。
これで君も賢者だ
ここまで説明した神事の作法を守れば、君もサイゼリヤ神の恩寵に預かり、勝利と栄光を勝ち取ることができるだろう。そして「マグナムを頼む」という万事を解決する秘儀を知った君は賢者だ。否、サイゼを忘れた人類やサイゼを知らない人類未満より先のステージに進んでいると言って差し支えないだろう。
そして胸に刻んでほしい。いくらコスパに優れるからといって「安いからサイゼ」という守りのサイゼは神に対する冒涜である。
ボーナスが出ようと、仮想通貨で大儲けしようと、庭から石油が湧こうと、サイゼリヤに選ばれし者はサイゼリヤを求めてよいし、むしろ義務としてサイゼリヤに行かなければならない。
たとえ世界の全てを手に入れても、マグナムはここでしか飲めないからだ。でも余った分は持ち帰れるぞ。
リンク
サイゼリヤ。メニューを確認できる。あなたのセットを作ろう。
アニヲタwikiの項目。神殿への崇敬が詰まっている。
サイゼリヤ(ファミレス) - アニヲタWiki(仮) - アットウィキ
