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頭がおかしくなって入院した(入院体験記 その1)

頭がおかしくなっていたから入院した。

2ヶ月ばかり前のことだから、思い出しつつ書く。

 

 

私はしがない新入社員だ。仕事は然程忙しくない。人件費削減のためか、毎日定時には帰らされていた。残業手当がつかないので稼ぎは少ないが、自由時間が多く、ほかの同級生よりストレスは少ないのではないかと思う。それでも病気にはなった。

 

異変は入院の2日前に起こった。オフィスで襲ってきた猛烈な頭痛だ。右目の奥がつねられるように痛む。勤務中、先輩社員が「辛そうだがどうかしたか」と声をかけてくれたが、「頭痛がします」とだけ答え、業務を続けた。お互い、ただの頭痛と考え、定時まで働き帰路についた。帰路でも先輩は私の頭痛を気にかけてくれたが、私は「頭が痛いくらいじゃ死にはしません」と、事も無げに振る舞った気がする。

口ではそう言えど、胸には引っかかるものがあった。昨年、バイト先の塾講師がくも膜下出血で亡くなっていたのだ。頭痛を訴えて救急車で運ばれ、その日のうちに帰らぬ人となってしまった。頭痛くらいで死ぬことはない、なんてことは全くないという実例が記憶にある。にも拘らず、我が身にそんな災難が降りかかると思うことはなく、病院に足を運ぶことはなかった。

読者諸君においても、私の顛末を知った暁には「頭が痛いくらいで……」などと軽く考えるのは金輪際やめて、異変があれば病院に行く習慣をつけて頂きたい。(体調不良でも病欠しない、できない社会について論ずるのは今回はさておく)

 

とにかく、その日は家に帰り、頭痛を引きずりつつもいつも通り過ごした。あまりにも調子が悪いので靴磨きを怠った気がする。

ところでこの日、私は皮膚科を受診する予約が入っていたが、完全に失念していた。今思うと、頭痛が集中力を完全に奪っていたようだ。